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編集長のブログ

オルテガ『大衆の反逆』


20代のころ、オルテガの『大衆の反逆』(角川文庫)を初めて読んで感銘を受けた。その後も何度か読んだが、最近は読み返していない。この本が話題になったのは、今道先生との雑談のなかでだった。私が「オルテガは『大衆の反逆』以外の著書はまるで印象に残らなかった」と話すと、先生は「ぼくもそう思う」とおっしゃられた。先生とは、プラトン以外の著書については、お互いの好き嫌いはほぼ同じだった。

さて、『大衆の反逆』だが、「いずれ「大衆」と呼ばれる人々が、それまでの、洗練され、教養を積んだ人々が大切にした「文化」そのものを席巻し、その中味ではなく外側の価値によってそれらを自分たちのものとするだろう」(要旨)というような記述があり、それが100年以上前に書かれたことに今更ながら驚く。いわゆる1%の持てる人々が築いてきたのが、現在の文明であるとしたら、それ以外の人々がその不当さに気づいたのが、現在世界中に台頭しているいわゆる「ポピュリズム」という現象である。それは、単に政治的主張というより、まさに経済的、境遇的に差別されてきた人々の反逆である。だから、この現象と「ナショナルズムの台頭」は少し違う。

「ナショナリズム」の背景にはいろいろな要素があるが、どれも「国家」というものを背負って、その主張を繰り広げて行く。当然ながら、主権国家時代の続く20世紀に隆盛を極め、人類の理想である「国連」がまるで機能しなくなった現在も、さらに形を変えて世界中で人々を巻き込もうとしている。日本でも、極めてナショナル的な「第2次安倍政権」が誕生してからというもの、何とかその力を増大しようと、あの手この手で国民を数の力で取り込もうとしている。
ナショナリストがその方法として目指すファシズム(全体主義)はナチズムの悪政以来よく知られているが、自分とは関係ないと考えている人が多い。特に第2次世界大戦中に猛威を振るった日本のファシズムはその時代に生きていた人々が少なくなるにつれ、その怖しさが日本の人々の意識から遠のいており、形を変えて、甦りつつある。特に「共謀罪」がまた名前を変えて復活してきたことは、脅威である。そんなもの戦中の「治安維持法」を知っているものは、どんなに安倍政権が「一般の人々には関係ない」と甘言を弄しても、「嘘」だと分る。「治安維持法」も当初は「一般の人」は関係ないはずであった。

ともあれ、時代の流れは人々の多様な意識を取り込みながらねじれに、ねじれている。自分たちの主張を通すため、嘘も平気、あらゆる現実的課題を上手に取り込み、派手なパフォーマンスを繰り広げる現政権に騙されては、それこそ将来に大きな禍根を残す。

本来の「大衆の反逆」は、人々がもう少し賢明になったときに実現するだろう。そのときには、安倍政治の「嘘」などまるで通用しなくなるはずである。でも、いま、そこに到りつつあるという予感もする。そうであれば、私たちはもう少し心安らかで、人と人がもっと心から助け合える世の中の一端を垣間見れるはずである。


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