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編集長のブログ

17歳の背中


17歳になったばかりの私は日本中旅をしていた。行き当たりばったりで、気が向いたところに行き、とりあえず、どこかに住み込みの働き場所をみつけ、数か月、その地にとどまり、また居場所を変えて次の土地に行く。

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必需品は「時刻表」だけだった。乗り継ぎのための路線や時間。それが分らないと路頭に迷う。ありていに言えばそれは放浪といってもよい旅であったが、時刻表があるために、浮草のようではなく、バックパッカーでもなかった。
だいたい、その旅に出た時の持ち合わせ金は500円。どこかで働らかなくては、旅は続けられない。それほど深く考えたわけではなかったが、それは私の旅のルールのようなものだった。そして北海道から九州まで巡りあるいた。
印象に残る出来事はたくさんあったが、今回ふと、この旅のことを記してみる気になったのは、各地で立ち寄った「銭湯」のことが念頭に浮かんだからだ。
青森でも、弘前でも、函館でも、鹿児島でも、私が「銭湯」に行くと、必ずどこかから、年上のおばさんらしき女性が現れ、「背中流すね」という意味の言葉を発して、背中を洗ってくれる。私は「ありがとう」と言ったきり、顔も見ない。それは、あまりにも、あたりまえになってしまい、当時は深い意味も考えず、されるがまま背中を流して?洗ってもらっていた。だが、ふと考えた。
自分ではまったく意識していなかったが、当時の私は可愛らしい娘であり、美少女の部類にも入っていたらしい。後年何人かから、そう告げられてびっくりした。
2つ年下の妹が超美人(当時)であったため、顔の美醜についてはいつも引け目を感じていたぐらいだった。
しかし、何人かの友人の証言通りだとすれば、「銭湯」での毎回のおばさん登場は合点がいく、見知らぬ土地の「銭湯」に、どこか寂しげな影を持った見慣れぬ少女?がいる。
しかも可愛らしいく、頼りなげでもある。これは見過ごせない。背中ぐらい流してやろう。
というのが、当時の日本全国の「銭湯に通うおばさん」たちの共通認識だったのだろう。
現在、日本全国にそのような共通認識があるかどうかは知らぬが、いま思い返せば、その光景は、ほのかな湯気のなかに出現した幻のように儚いやさしさを漂わせているように感じられる。


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