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編集長のブログ

ジャック・ロンドンⅢー凄絶な孤独ー


引き続き、就寝前にジャック・ロンドンの作品を読んでいる。今読んでいるのは「マーティン・イーデン」という長編の作品である。この作品も自伝的要素が強い。

読み始めたらすぐに、若いマーティン・イーデンに「寅さん」のイメージが重なり、もしかしたら山田洋二監督もこの作品を読んで寅さんという人物を造形したのかもしれないと思ったほどである。しかし、わずか20代で作家として望むかぎりの成功を手にしたジャック・ロンドンが、40歳で自殺したことを知っている私の胸中は、この笑いを誘う青年のひたむきさに寄り添いながらも心に哀愁が満ちてくる。

「天才の孤独」といえば月並みだが、人の世の本質と個々の人間存在の本質を見極めてしまうほどの天才であり、その直感力と感受性そのものが生の動機だとしたら、その天才とはどのようなものだろう。彼にとっては、この世での富も名声も、自分の生の達成にはなりえない。つまり有名人になり、億万長者になってもそのようなものに満足できない。むしろ、そのようなことで隔てられてしまったかつての自分と仲間たちにとの距離に絶望する。それは凄絶な孤独である。自分さえも突き放つ孤独。そしてこの長編の最後にその孤独がマーティン・イーデンを襲う。

ここに記述されているマーティン・イーデンの心情のほとんどは、ジャック・ロンドンの経験に基づいている。多分、このような魂を授かった者は聖人になるしか道はない。それとも寅さんのように、ちょっと手前で身を引いて、自分をふくめたこの世のすべてを笑って肯定する。だが、ジャック・ロンドンはとてもそれでは納まりがつかなかったのだ。

類と生まれし我ら

あなたでもなく、わたしでもなく

人として、ともに生きる手立てはどこにあるのか

日日の生活のなかに

歴史のなかに、こたえはすべてあるはずなのに、それが掴めない。

類として生まれし我ら

あと、どのくらいの時を重ねればそのようなものを掴めるほどに

賢くなれるのか

類としての終焉が始る前に

さあ、始めなくては!

([編集長のブログ」原文は、青フォントのタイトルをクリックして読んでください。原文の改行が反映されています。)


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