文字とデザインにこだわる、それがレイラインパブリッシングです。 スタッフの鋭敏な感性と豊かな想像力で1冊1冊の本を大切に作り続け、読者にお届けします。ただ今10月11日発刊arc15号購読受付中


ホーム >> 編集長のブログ >> タルコフスキー・ノスタルジア・サクリファイス

編集長のブログ

タルコフスキー・ノスタルジア・サクリファイス


arcの写真を撮ってくれている写真家、初沢亜利から、災害直後の被災地の写真が100枚くらい送られてきた。聞けば震災の翌日に現地に飛んだという。なかに瓦礫のなかをさまようシェパード犬(災害救助犬ではない)を撮影した写真があった。
それを見たとき、ロシアの映画監督アンドレイ・タルコフスキーの映画『ノスタルジア』の一場面が甦った。『ノスタルジア』は何年たっても胸に残る作品で、私は2003年にニュープリントで公開されたときに観た。
この映画全体に流れていたのは、まさに現在の文明に対する強烈な批判であり、その文明にどっぷりつかって生きてきた自分への悔恨・・・監督自身を投影した主人公ゴルチャコフを遠く引いたカメラのアングルから、見つめ、そして、否定するタルコフスキー自身の眼差しだった。

荒廃する事象のただなかで、もしこの作品を「悔恨し、蘇生する、犠牲者たちの魂の映像」と捉えるならば、この作品は現代を生きる私たちに放たれたひとつの矢である。何度でも言おう。国境などない。人を分け隔てるものは、ただ人間なのだ。ならば人が変らなくて、世界の何が変るのか。

『ノスタルジア』のなかで主人公ゴルチャコフに多大な影響を与え、狂人じみた暮らしをしているドミニコは、知識人ではない。しかし、「1+1=1」のような不可思議な言葉を落書きし、水のオブジェといってもよい部屋に幽閉した家族とともに暮す。その彼が、焼身自殺を図る前に深い悔恨のなかで言う。

「家族だけを救おうとしたからいけなかつたんだ。世界全体を救おうとすればよかったんだ・・・俺はエゴイストだった・・・」

三陸地方のリアス式海岸の瓦礫の中を、飼い主を探してさまよう犬の姿。この大災害が、私たちの後の世代に、「あれが覚醒のはじまり」だったと言われることを、祈りたい。

「しわくちゃの白い紙や破れた白い布だけが風に吹かれている街路の光景。人に纏わりながら、悲劇を予見し、悲しそうに切迫したシェパード犬の目。動物と子どもばかりが優しく、聡い。」(arc3号映評より)

([編集長のブログ」原文は、青フォントのタイトルをクリックして読んでください。原文の改行が反映されています。)


コメント

●arc世界連邦政府憲法 試案
●arc THE CONSTITUTION OF
THE UNITED WORLD GOVERNMENT
TENTATIVE PLAN
●arc世界連邦政府憲法
試案/Q&A



新刊案内

2015.10.7 arc19号発刊!
arc19 2014.10.7 arc18号発刊!
arc18
2013.10.13 arc17号発刊!
arc17
2013.5.30
 『ハラハラ、ドキドキ、
 なぜ歩くの、智恵子さん』
 発刊!
arc15
2013.3.21
『進化する政治経済学』発刊!
arc15
2012.10.12 arc16号発刊!
arc17